水道代が急に高くなったときや、毎月の料金を少しでも抑えたいとき、水道局の減免制度を利用できないか気になる方もいるでしょう。
水道料金の減免には、物価高騰対策・福祉減免・漏水時の減額という3つの種類があり、対象者や手続きは地域によって異なります。この記事では、それぞれの条件と申請の流れ、漏水を見分ける方法までを解説します。
※記事内の制度情報は2026年10月時点のものです。最新の内容は、各水道事業者の公式サイトでご確認ください。
水道局の減免制度とは?目的が異なる3つの制度

「水道局の減免制度」は全国共通のひとつの制度ではなく、自治体や水道事業者が目的ごとに設けている複数の制度を指します。まずは3つの制度の違いと、調べる前に知っておきたい基本を確認しましょう。
物価高騰対策・福祉減免・漏水減額の違いを比較
水道料金の負担を軽くする制度は、大きく次の3つに分けられます。
| 制度 | 主な目的 | 主な対象 | 申請 |
| 物価高騰対策による減免 | 物価上昇による家計・事業者の負担軽減 | 対象地域で水道を契約している利用者(口径などの条件あり) | 不要な場合が多い |
| 福祉減免 | 生活上の支援が必要な世帯の負担軽減 | 生活保護や児童扶養手当の受給世帯など | 必要な場合が多い |
| 漏水による減額 | 気づきにくい漏水で増えた料金の調整 | 発見が難しい場所で漏水し、修理を終えた利用者 | 修理後に申請 |
物価高騰対策の減免は期間を区切った一時的な支援で、期間が終われば通常の料金に戻ります。
一方、福祉減免は条件を満たしている間、継続して受けられる仕組みです。漏水による減額は水漏れが起きたときに限って使える制度で、修理の完了が前提となります。
「毎月の水道料金を減らしたい」のか「急に増えた料金をどうにかしたい」のかによって、調べるべき制度も変わるでしょう。
「免除」「減額」「減量」は意味が異なる
水道局の案内では、似た言葉が使い分けられています。意味を取り違えると実際に安くなる金額を誤解しかねないため、注意が必要です。
| 用語 | 意味 | 使われ方の例 |
| 免除 | 対象の料金を請求しない | 基本料金を免除する |
| 減額 | 料金の一部を差し引く | 水道料金を20%減額する |
| 減免 | 免除と減額をまとめた呼び方 | 水道料金の減免制度 |
| 減量 | 料金計算のもとになる使用水量を減らして認定する | 漏水量の一部を減量する |
特に気をつけたいのが「減量」です。漏水による減額では、料金から直接割り引くのではなく、使用水量の一部を差し引いたうえで料金を計算し直す方法がとられることがあります。
水道料金は、使用水量にかかわらずかかる基本料金と、使った量に応じてかかる従量料金で構成されるのが一般的です。使用水量が多いほど1㎥あたりの単価が上がる料金体系もあるため、減量した割合と料金が下がる割合は一致しない場合があります。
減免の条件は住んでいる地域の水道事業者が決めている
減免の内容を決めているのは、水道料金を請求している水道事業者や自治体です。水道事業は市区町村が運営するほか、都道府県や、複数の自治体でつくる企業団が運営している地域もあります。
減免を実施しているかどうか、どの料金をどれだけ減らすのか、申請が必要かといった点は、事業者ごとに異なります。同じ県内であっても、隣の市とまったく同じ条件になるとは限りません。
また、住民票のある市区町村と、実際に水道料金を請求している事業者が一致しないこともあります。
制度を調べる際は住所だけで判断せず、検針票や請求書に記載された水道事業者名を確認してから、その事業者の公式サイトや窓口で情報を探しましょう。公式サイト内で「減免」「料金 減額」などと検索すると、関連するお知らせを見つけやすくなります。
物価高騰対策の減免と福祉減免|対象者と申請の有無を確認

毎月の料金そのものを抑えたいときに確認したいのが、物価高騰対策の減免と福祉減免です。前者は期間限定で広く適用され、後者は条件を満たす世帯が申請して受ける制度となっています。
物価高騰対策の減免は2026年も各地で実施されている
物価高騰対策としての水道料金の減免は、国の交付金などを財源に、自治体がそれぞれの判断で実施しているものです。2026年10月時点で公式に案内されている例は、次のとおりです。
| 水道事業者 | 主な減免内容 | 対象期間 |
| 千葉県営水道 | 口径13・20・25mmの水道料金を20%減免 | 2026年7〜10月検針分 |
| 京都府宇治市 | 上水道の基本使用料などを半額〜75%減免(時期により異なる) | 2026年4月検針分〜2027年3月検針分 |
| 埼玉県さいたま市(終了) | 家庭用契約などの水道基本料金を減額 | 2026年4〜7月検針分 |
千葉県の試算では、県営水道で口径20mm・月20㎥を使う家庭の場合、4か月間の減免額は約3,100円とされています。
基本料金だけを対象にする地域もあれば、料金全体を割り引く地域もあるため、減免の範囲は公式の案内で確かめておきましょう。
出典:千葉県「水道料金減免の支援について」、千葉県営水道「物価高騰対策による水道料金減免」、宇治市「水道料金減免について」、さいたま市「物価高騰対策による水道基本料金の減額」
物価高騰対策は申請不要が多いが、手続きが必要な追加減免もある
物価高騰対策の減免は、水道事業者がすでに持っている契約情報をもとに、自動で請求額へ反映されるケースが多く見られます。この場合、契約者が自分で申請する必要はありません。
ただし、なかには手続きを条件とする減免もあります。たとえば千葉県営水道では、マイポータルへの登録やオンライン通知への切り替えを条件に、11〜12月検針分も20%減免する取り組みを行っています。登録期限は、2026年9月30日の発表で10月19日まで延長されました。
また、管理会社などが一括で水道を契約している集合住宅では、減免が管理会社などに適用されるケースがあります。入居者の請求に反映されるとは限らないため、気になる場合は管理会社や大家さんに確認してみてください。
福祉減免の対象は受給している手当や世帯の状況で決まる
福祉減免は、生活保護や各種手当の受給状況などをもとに、世帯ごとに対象かどうかが判断されます。主な対象と条件の例を見てみましょう。
| 対象の例 | 主な条件の例 | 注意点 |
| 生活保護受給世帯 | 生活扶助などを受けている | 受給しているだけでは対象にならない自治体もある |
| ひとり親世帯など | 児童扶養手当を受けている | 児童手当とは別の制度 |
| 障害者・障害児のいる世帯 | 特別児童扶養手当や一定の障害年金を受けている | 障害者手帳の有無だけで決まるとは限らない |
| 住民税非課税世帯 | 世帯の住民税が非課税 | 制度を設けていない自治体もある |
特に間違えやすいのが、児童手当と児童扶養手当の違いです。児童手当を受け取っているだけでは対象外とする自治体もあるため、手当の名称を正確に確認しておきましょう。
減免額も自治体によって違い、水道料金から1か月あたり979円(税込)を差し引く例もあります。
福祉減免は申請が必要で、引っ越したときは再申請も
福祉減免は、条件を満たしていても自動では適用されず、多くの場合は自分から申請して初めて対象になります。手続きは、おおむね次の流れです。
- 検針票や請求書で、契約している水道事業者を確認する
- 水道事業者の公式サイトなどで、対象者の条件と必要書類を調べる
- 申請書と、手当証書や受給証明書などの書類をそろえる
- 指定された窓口に提出する(郵送に対応している場合もある)
必要書類は対象区分によって異なります。生活保護受給証明書や手当の証書のほか、住民税非課税世帯では所得・課税(非課税)証明書を世帯全員分求められることもあります。
引っ越しの際も注意が必要です。減免を受けていても、住所が変わると改めて申し込まなければならない場合があります。
転居先で制度そのものが変わることもあるため、新しい住所の水道事業者で条件を確認してください。
水道代が急に高くなったときの原因の見分け方と漏水のサイン

水道代が上がった原因は、水漏れとは限りません。生活の変化や減免期間の終了でも請求額は変わるため、まずは検針票と水道メーターで原因を切り分けましょう。
検針票で使用水量・検針期間・減免の有無を比べる
最初に確認したいのは検針票(使用水量のお知らせ)です。請求金額だけでなく、次の項目を前回や前年同時期と比べてみてください。
| 確認する項目 | 見るポイント |
| 使用水量 | 金額だけでなく、使った水の量(㎥)が増えているか |
| 検針期間 | 1か月分と2か月分の請求を比べていないか |
| 減免の記載 | 前回までの請求に減免が適用されていなかったか |
| 料金改定 | 水道事業者から料金改定のお知らせが出ていないか |
使用水量がほとんど変わっていないのに金額だけが上がっている場合は、減免期間の終了や料金改定が原因かもしれません。物価高騰対策の減免は期間限定のため、終了後は節水を続けていても請求額が元に戻ります。
反対に、使用水量そのものが大きく増えているなら、家族の帰省や来客、洗濯や入浴の回数、庭の水やりなど、生活の変化に心当たりがないか振り返ってみましょう。思い当たる理由がなければ、漏水を疑ってメーターの確認に進みます。
蛇口をすべて閉めて水道メーターのパイロットを確認する
漏水が起きているかどうかを手軽に調べられるのが、水道メーターの確認です。多くのメーターには、水が流れると回転する「パイロット」と呼ばれる部品がついています。
確認の手順は次のとおりです。
- 家中の蛇口を閉め、洗濯機や食器洗い乾燥機など水を使う機器も止める
- 水道メーターの場所を確かめる(戸建ては敷地内の地面にあるメーターボックス、集合住宅は共用部分にあることが多い)
- メーターのふたを開け、パイロットが動いていないかしばらく観察する
水を使っていないのにパイロットが回り続けていれば、メーターより先の配管や設備で漏水している可能性があります。あわせて、水回りに濡れている箇所がないかも見ておきましょう。
ただし、パイロットが止まっていても、特定の設備を使ったときだけ漏れるケースもあり、漏水がないとは言い切れません。水が噴き出しているときは、メーターボックス内の止水栓を閉めて被害の拡大を防いでください。
関連記事:漏水調査は自分でできる?水道代が高いときの確認方法と費用相場・業者依頼の目安
トイレ・蛇口・地中や壁内の配管に現れる漏水の兆候
メーターで漏水が疑われたら、家の中で水が漏れやすい場所を確認していきます。
| 場所 | 漏水のサイン |
| トイレ | 便器内に水が少しずつ流れ続けている、タンクへの給水音が止まらない |
| 蛇口・シャワー | しっかり閉めても水がポタポタ落ちる |
| 洗面台・シンク下 | 収納の中が濡れている、カビ臭い、床に水染みがある |
| 給湯器まわり | 機器や配管の周辺に水がたまっている |
| 地中の配管 | 地面の一部が湿っている、陥没している |
| 壁・床の内部 | 壁紙の変色、床や壁の湿り気 |
トイレタンクの部品が劣化すると、目立つ水たまりがなくても便器内に水が流れ続けることがあり、使用水量が増える原因になりがちです。
厄介なのは、地中や壁の内部、床下の配管からの漏水です。目視では見つけにくく、放置すると地面の陥没や建物への浸水といった二次被害につながるおそれもあります。
メーターの異常が続くのに漏水箇所がわからない場合は、早めに専門業者へ漏水調査を依頼しましょう。
漏水による水道料金の減額制度|対象となる条件と申請の流れ

漏水した分の水も、メーターを通っていれば料金は原則として利用者の負担です。ただし、地中や壁の内部など見つけにくい場所の漏水は、修理後に申請すると料金の一部が減額される場合があります。
減額の対象は地中や壁内など気づきにくい場所の漏水
減額の対象になりやすいのは、地中の給水管や壁の内部、床下の配管など、通常の注意を払っていても発見が難しい場所での漏水です。反対に、すぐに気づける漏水や利用者の不注意による漏水は、対象外とされることが多くあります。
| 漏水の状況 | 減額の扱い |
| 地中・壁内・床下の配管の破損 | 対象になり得る |
| 蛇口の閉め忘れ | 対象外となる場合が多い |
| 故意・重大な過失による漏水 | 対象外 |
| 漏水に気づきながら修理しなかった場合 | 対象外となる場合がある |
| トイレや給湯器からの漏水 | 自治体によって扱いが異なる |
特に扱いが分かれやすいのが、トイレや給湯器からの漏水です。1回に限って対象にする自治体がある一方、機器本体や露出した配管からの漏水は原則として対象外とする自治体もあります。
減額されるのは漏水量の一部で、料金が半額になるわけではない
漏水による減額は、増えた料金をすべて取り消すものではありません。たとえば、検針された水量と通常の使用水量の推定値との差を漏水量とし、その50%を減量する自治体があります。ふだん月20㎥を使う家庭が60㎥と検針された場合は、次のとおりです。
| 項目 | 水量 |
| 検針された使用水量 | 60㎥ |
| 通常の使用水量(推定) | 20㎥ |
| 推定漏水量 | 40㎥ |
| 減量される水量(推定漏水量の50%) | 20㎥ |
| 料金計算に使われる水量 | 40㎥ |
※計算の考え方を示した例です。実際の水量は、水道事業者の審査によって決まります。
注意したいのは、「50%」が漏水量に対する割合だという点です。料金は減量後の40㎥をもとに計算し直されるため、請求額がそのまま半分になるわけではありません。
また、減額が適用される期間や回数に上限を設けている自治体もあるため、あわせて確認しておきましょう。
修理から減額申請までの流れと必要書類
漏水による減額は、修理を終えてから申請するのが基本となります。おおまかな流れは次のとおりです。
- 使用水量の急増やメーターの異常で漏水に気づく
- 水道事業者に、減額制度の条件・必要書類・申請期限を確認する
- 漏水箇所の調査と修理を依頼する
- 修理の証明書や写真を添えて申請する
- 審査を経て、認められれば料金が調整される
修理の前に水道事業者へ条件を確かめておけば、あとから書類が足りずに困る事態も防げます。
申請では、指定給水装置工事事業者などが発行する修繕の証明書や、修理箇所の写真を求められることがあります。業者には減額申請の予定を最初に伝えておくと安心です。
申請期限を修理完了後1年以内と定めている例もあるため、修理を終えたら早めに書類をそろえて提出しましょう。
漏水修理は修繕証明書に対応できる水道局指定工事店へ相談する
水道局指定工事店とは、水道法に基づいて水道事業者から指定を受けた「指定給水装置工事事業者」のことです。指定は水道事業者ごとに行われるため、お住まいの地域で指定を受けているか、修繕証明書の発行に対応できるかを依頼前に確かめておきましょう。
なお、指定工事店で修理しても、減額が必ず認められるわけではありません。減額制度は修理費用を補助するものでもない点に注意が必要です。
次のような状況に心当たりがある場合は、被害が広がる前にご相談ください。
- 水を使っていないのに、水道メーターのパイロットが回っている
- 使用水量が急に増えたが、原因が思い当たらない
- 漏水箇所がわからず、減額申請も見据えて修理を進めたい
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まとめ|使える減免制度を確かめ、水道代の急増は早めに原因を調べよう
水道局の減免制度には、物価高騰対策による減免、福祉減免、漏水による減額の3つがあります。いずれも全国共通ではなく、対象者や申請方法は契約している水道事業者によって異なります。
まずは検針票で契約先と使用水量を確認し、利用できる制度がないか公式サイトや窓口で調べてみてください。使用水量が不自然に増えている場合は、漏水が隠れているかもしれません。
漏水による減額を受けるには修理の完了が前提となるため、気づいた段階で早めに調査と修理を依頼することが大切です。
